人間は99パーセントの遺伝子をチンパンジーと共有していると言われています。
動物の赤ちゃんと同じく、人間の新生児も空腹によって乳を吸うことを覚えます。
そして親の庇護の中で安心して大きくなります。成長という素質が開花します。
親からはぐれた動物は常に生命の危険にさらされ、安心できずにオドオドし、生命力にも欠け、発達も芳しくなく、やがては弱肉強食の自然界の餌食になってしまいます。
人間は動物に比べてさらに未熟な状態で産まれ、空腹という生理的な要求と同時に母親のまなざしや笑いに反応します。
動物的な充足と安心感に加えて、愛に育てられるのです。
筆者が訪問したことのある某国の孤児院では、捨て子が何十人もベッドを並べていましたが、何歳になっても目が見えず、胎児の姿勢から発達せず、3歳前には死んでしまうのだという報告を受けました。
また自分を愛せない母親や父親には子どもは愛せません。
パートナーも愛せません。
自分を愛することが出来て初めて他人を愛することが出来るのです。
愛は個人のためだけにあるのではありません。
母が子を愛し、それによって子は自分をも愛すことを学んでいきます。
そして、そこから他人をも愛するようになるのです。
餌をとってもらっていた動物が自分で餌を取ることを学び、やがては自分の子に餌をとってやるように。
動物とちがい、発情して種族を残すのではなく、人間の子孫繁栄には「愛」という感情が大きな役割を担っています。 |